「シッコ」

 観たのはちょっと前なんですが、今更感想です。

 アメリカ&その他の国々の医療保険を扱ったドキュメンタリー映画

http://sicko.gyao.jp/

 正直、この映画のことを聞くまで、アメリカに国民健康保険(に相当する制度)がないのは知りませんでした。

 冒頭、保険に入ってないので病院に行けない人が、ケガした足を自分で縫うシーンから始まります。下手に病院行くと破産しちゃうんですね。

 民間の保険に入っていても、契約の細かいところを突かれて、いざ病気になっても保険が下りなかったりするわけです。病院側が、治療途中で保険が払えなくなった患者を、タクシーでスラム街に捨てたりとか……どうにも病んでいる現状を活写してます。

 比較対象になるのがヨーロッパ諸国の手厚い保険制度。イギリスやらフランスは全てタダ。しかも申請すると、自宅からの交通費まで貰えてしまう。いかもヘルパーさんが家に来て、家事を手伝ってくれたりする。まぁフランスなんかは、税金が死ぬほど高いらしいけど。

 医者は国に雇われていて、患者を治療したり禁煙させたりすると、歩合で待遇が良くなるんですね。だから、患者を見捨てるという行為自体にあまり意味がないわけです(これはこれで弊害ありそうだけど…アメリカよりはマシか)。

 クライマックスは、911で復旧作業を手伝って(粉塵などの被害で)病気になったボランティアの人達が、キューバに渡って治療を受けるシーン。キューバが実は医療先進国、というのも知りませんでした…。

 いつもならガンガンアポなし突撃するマイケル・ムーアが、かなり憔悴気味だったのが印象的でした。アメリカ側が酷いのは予想してたんだろうけど、他国とここまで差があるとは思わなかったんだろうなぁ。

 映画館でなくても良いと思うけど、観ておくべき内容だと思います。日本がアメリカを追従しないのを祈るばかりだ…。