モダンスイマーズ「さよなら西湖クン」

 冷蔵庫のような寒気と北風。出かけたくなかったけど、芝居のチケット買っていたので新宿へ。歩いてると顔面がバリバリするんですが…。

 モダンスイマーズの「さよなら西湖クン」観てきました。新宿のシアタートップスで鑑賞。

 とある高校の野球部OBが作った草野球チーム。その面々がいつもの溜まり場に集まり、明日の試合に備えてダベっていた。明日の相手は、高校時代に県大会の決勝で争った野球部のOBチームであった。敗れた県大会決勝の話や、メンバーの記憶を肴に酒を飲んでいたところ、チームのエースでプロ入りしていた「西湖」が突然その場に姿を現すのだが…。


 まず野球をベースにした話なのにビックリ。モダンスイマーズ絡みの芝居はなるべく見に行こうと、内容は知らずにチケット買っていたので。

 前半から中盤にかけて笑いを取るキャラクターとして「通称のびたくん(三年間補欠でほとんどスコアはがりつけていた)」が出て来るんですけど、場内の人達が笑っているのに、私は苦笑するしかなかった。何故か。

 …私が監督している草野球チームにそっくりな奴がいるんだよー。あの痛い言動もほとんど同じなんだよー。あまりにオーバーラップして苦笑するのみ。いや、芝居自体にはなんの問題もないんですが。

 芝居自体は、停滞している側の焦燥感や、先に行ってしまった者へのどうにもならない感情などが表現されていて、なかなか響くモノがありました。

 西湖がプロで身につけた「凄い変化球」の正体と、彼がやってきた目的、野球好きなら感動五割増しと言ったところでしょうか。確か蓬莱さんのコメントで「昔の記憶が曖昧になっているところを表現したい」みたいな事を言ってましたが、それをうまくラストに繋げているかなと。

…私も自分のチームで良くグタグタ話するんだけど、結構みんなの記憶ってバラバラなんですよねぇ。重要だと思うことを忘れていたりするし。この辺、自体験と重なってよく深く楽しめたかなと思います。

 モダンスイマーズで作・演出をしている蓬莱竜太さんは、舞台版「世界の中心で、愛をさけぶ」の脚本を担当したり、徐々に名が知れてきたと思います。これからも要注目。