キャラメルボックス「クロノス」

 池袋のサンシャイン劇場で芝居を観てきました。演劇集団キャラメルボックス・タイムトラベルシアター「クロノス」です。

 原作は梶尾真治の「クロノス・ジョウンターの伝説」(の一作目らしい。原作は読んでません)。「タイムトラベルシアター」の第二弾という事で、ちょっと期待してました。第一弾の「スキップ」はかなり気に入ったので。

 主人公・吹原が中学時代から好きだった女性が事故で死んでしまう。吹原は自分が勤めていた研究所で開発していたタイムマシン「クロノス・ジョウンター」を使用して過去に戻り、彼女を救おうとするが…。という感じの話。

 主演の管野さんの純朴男っぷりは電車男にも負けてませんね。端役陣も充実してたと思いますよ(女医さんが良かった)。場面場面の繋がりが巧みでテンポが良いのは、流石に老舗だなぁと。

 …しかし肝心なストーリーが…うーん。タイムトラベル物には矛盾がつきもので、そのこと自体は仕方ないかなと。ただ、観ている間に気が付かないようにうまく押し切って欲しいのですよ。

 この手の話で観ている側が、劇中に何度も「アレ??」と思ってしまうようだと、話にアラが多いと言わざるを得ません。

 最初に過去に飛ぶ時間が、事故の45分前という半端な時刻なのは何故?とか、彼女じゃなくて、横断歩道を歩いていた子供を助けるべきなんじゃないの、とか。他にも「??」と思う箇所多数。

 彼もエンジニアなワケだから、最初は理詰めで彼女を救おうと考えるのが自然だと思うんですけど。ボロボロの体を引きずって、すぐに過去に飛ぼうとする意味もよく分からなかったしね。この勢いを「情熱」と見るか、「無謀」と見るかで、好みが分かれるのかな。

 理詰めだとどうしても無理で、最後どうにもならなくなったたら激情に駆られる、といった流れの方がよりギャップが出て盛り上がったのでは。ただ勢いに任せて行動している主人公には、残念ながらちょっと冷めてしまった。原作に沿ったのなら、仕方ないのかもしれませんが。


 それでも、タイムマシン「クロノス・ジョウンター」の見せ方と造形は凄く良かった。どことなく不完全っぽさが漂っていて、よくある「タイムマシン」じゃなくて、これは「クロノス・ジョウンター」なんだなぁと思わせてくれました。

 個人的には「まぁまぁ」と言う感じでした。ストーリーの荒さを、役者さんと演出でカバーしたという印象ですかね。このシリーズ自体には期待しているので、世に眠っているタイムトラベル物の原作を探して、また芝居にして欲しいです。