戸田誠二「化けの皮」「唄う骨」

 イチオシの漫画家・戸田誠二さんの新刊です。これまでは、現在に生きる人たちのちょっとした日常を描いていた氏なんですが、この新刊二冊はちょっと毛色が違ってます。グリム童話や、諸国の古典を下敷きにした物語をまとめた単行本。

唄う骨 (Bunkasha comics)

唄う骨 (Bunkasha comics)

化けの皮 (Bunkasha comics)

化けの皮 (Bunkasha comics)

 デキは良いと思うんですが、話ががっちりしすぎているというか。特にグリム童話原作の「唄う骨」 の四篇は話が重すぎる感がありあり。終わりの先に光の見える話でもないので、読むと鉛を飲まさせた気分になります。それだけ重みのあるマンガだとも言えますが。

 それにしても「まんがグリム童話」なんて雑誌があったのね。雑誌全編こんな話なのかなぁ。読んだら気が滅入りそう…。

 重さと軽さのバランスが戸田作品の妙味だと思うんですが、今ひとつそれが発揮できていない気がします。

 個人的に好きな話は「化けの皮」に収録されている「おおきなかぶ」かな。父上の「オレによくわからん…」という台詞が染みます。

 「化けの皮」は、今までの戸田作品にはないタイプの作品。アクションっぽいシーンもあるし、クリーチャーっぽい鬼とかも出てくるし。意外とアクション系のマンガでも行けるのかも。

 出版社が変わったからかもしれないけど、後書きがないのは寂しいなぁ。結構好きだったのに。

 微妙なことも書いてますが、凡百のマンガに比べればずっと読む価値はあると思いますので、誤解の無きように。