ユーリ・ノルシュテイン特集

 少し前にNHK教育で放映されていた「ETV特集 ロシアの映像詩人ノルシュテイン 日本をゆく」を観ましたよ。海外アニメーションの大御所、ユーリ・ノルシュテイン氏の制作現場や、来日の様子が観られました。

 とりあえず氏の「霧につつまれたハリネズミ」は、機会があれば観ておいた方が良いです。広い意味で「アニメーション」に興味があるのなら、まず外してはいけない作品かと。「話の話」も良いんですが、これはちょっと解釈が難しいので。

ユーリ・ノルシュテイン作品集 [DVD]

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 モスクワで雪の降る中、凍っている池で寒中水泳する姿を見ると、なんともバイタリティのある人だなぁと。後十年くらいはバリバリやれそうな感じ。それでも新作の「外套」は完成するかどうか…。まだ半分くらいの完成度らしいんですが、そこまで二十年以上!?もかかっているらしいので。異様に手間のかかる作り方をしているからなんですけどね。

 「外套」の映像を少し観ましたが、やっぱり凄いね。街の雑踏の1シーンだけで思わず唸ってしまうというか。無事完成すると良いけどね。

 ただ、コンピュータを全否定するのはいかがなモノかなぁと。道具として使える物は使えばいいと思うんですけどね。あの制作機械を見ていると、コンピュータ使えばもう少し行程が短縮できるんじゃないかと…。

 日本で毎年行われている「ユーリノルシュテイン大賞」の審査の様子が見られました。若手クリエーターにかなり厳しいお言葉の連続…。「クリエーターが自分の殻に閉じこもっていて、感受性が無くなっている。どうやってそこから出してあげられるのか。無理矢理連れ出して川に放り込んでやれば、少なくとも川の冷たさは感じることができるだろう」…無茶言うなぁと思いつつも、頷けるところも多いかな。絵の世界に限った話ではないし。

 「手と頬の動きで人間の感情は表現できる」みたいなことを言っていたけど、それは確かになぁ。後はとにかく観察せいと。

 他にはゲストで川本喜八郎山村浩二イッセー尾形なども登場。なかなか見応えありました。

 それにしても「アートアニメ」って呼び方がどうも肌に合わないんだけど、何かいいジャンル名ってないものか。